HEMSって言葉を聞いたことありますでしょうか。
聞いたことはあるけど,HEMSを説明してと言われると困るって人多いですよね。
今回はHEMSをわかりやすく解説していきます。
HEMSに連携でいる電化製品なども細かく解説しますね。
HEMSとは
HEMSは,ホームエネルギーマネージメントシステムの略です。
家の中の家電製品などを管理する機器ということですね。
今までの家電製品はそれぞれ個別に動作していました。
HEMSは家電製品を繋ぎ,より便利になるように制御するものです。
これらはインターネットにも繋がります。
インターネットを通じてユーザーが操作することはもちろん,メーカーが提供するアップデートによって新しい機能が増えたり接続する機器が増えたりもします。
繋がるのは家電だけではなく,家電製品が繋がるブレーカーもつながることで電気の流れも可視化してくれるんです。
HEMSはECHONET Liteという信号規格を使って機器との通信を行います。
これは,スマホやパソコンでいうWi-Fiのようなものです。
スマホやパソコンはメーカーが違っていても機器同士で通信できますよね。
HEMSはECHONET Liteによって会社の壁を越えて通信ができるわけです。
HEMSでできること
HEMSでできることを3つ解説していきましょう。
時短・便利
HEM照明・エアコン・シャッターなどをモニターひとつで簡単に操作
HEMSの端末画面やスマホを使って,離れた部屋からエアコンのオンオフ操作や温度設定,照明,電動窓シャッターなど個別に操作ができるようになります。
また,タイマー設定や部屋ごとのグループ分け設定をおこなえばワンタッチで複数の機器を一度に操作可能です。
スマートスピーカーとの連携もでき,GoogleアシスタントやClovaを使った音声での操作もできるようになります。
ただし、AmazonEchoに対応していないのは残念。
安心
火災報知器と連携!火災発生を検知するといち早くお知らせ
万が一の火災時,火災報知器と連携して,火災の発生状況をいち早くお知らせしてくれます。
照明と連携することによって,家中の照明をつけてくれたり,外出先でもスマホにお知らせ可能です。
気象警報と連携して安心サポート
気象警報の発令と連動して、自動で蓄電池への充電やエコキュートの沸き上げ、電動窓シャッターを閉めることができるので、万一の場合も安心です。
自家消費
現在の発電状況や消費電力などの電気の流れがリアルタイムを表示
太陽光での発電や家電の消費電力をリアルタイムに数値で表示してくれます。
円グラフなどでの視覚的な表示や,前日との比較など様々な方法で見える化をしてくれるんです。
HEMSの種類
HEMSには様々なメーカーの製品があります。
例えば,HEMS最大手のPanasonic社製のHEMSはスマートHEMSという名称です。
HEMSといったらスマートHEMSと思っている方も多いのではないでしょうか。
スマートHEMSで使用する機器をAiseg2といいます。
Aiseg2は非常に高い知名度と導入実績があるんです。
後ほど説明しますが,PanasonicはHEMSに必要な分電盤のシェアが高く,合わせてAiseg2を導入されるということが非常に多いです。
他にも,長州産業社製HEMSはHemlia。
三菱電機は三菱HEMS。
様々なメーカーがHEMSシステムを生産販売しています。
加えて,ハウスメーカー独自でHEMSを開発販売しているところもあるんです。
・積水ハウス 「グリーンファースト ゼロ 」
・大和ハウス工業 「スマ・エコ・オリジナルⅡ」
・ 住友林業 「Smart Solabo」
などなど。
機器との連携
HEMSを利用するには分電盤とHEMS機器が必要になります。
スマホもアプリが用意され,設定することでHEMSを活用するのにとても便利です。
HEMSを始めるには
分電盤
HEMS導入には,HEMS対応の分電盤が必要になります。
一般的にはブレーカーと呼ばれるものです。
これは,使用電力量を測る機器でHEMSの中心的な役割を担います。
家のコンセントは、全て電盤に全てケーブルでつながって電気が供給されているんです。
分電盤は,それぞれ部屋ごとやコンセントごとの消費電力と使った時間をデータ化してHEMSで視覚化して見る手伝いをしてくれます。
多くのHEMS導入家庭で,Panasonic社の「スマートコスモ」という製品が使われているんです。
HEMS機器
Panasonicでは画像の様な機器を使用してHEMSを構築します。
先ほどご紹介したように,他のメーカー製のHEMSやハウスメーカー独自のHEMSもあります。
以下は、私が導入しているPanasonic社製HEMSのスマートHEMSについての説明です。
Panasonic社のスマートHEMSの場合は,HEMSの中心となるHEMS機器をAiseg2と呼んでいます。
先ほども名前が出てきていましたね。
HEMSに対応した分電盤で計測した消費電力データをAiseg2のモニターに表示してくれます。
Aiseg2は2種類の製品が用意されています。
・7型モニター付きモデル
・モニターなしモデル
モニターなしモデルの方が若干安い価格設定になっています。
もちろん、モニター無しでもスマホ画面でモニター付きと同じ操作が可能です。
私はモニター付きモデルを導入して,本体モニターでもスマホ画面でも両方で消費電力などを確認しています。
スマホ
多くのHEMSでは,スマートホンからの操作機能がついています。
スマホはもちろん,iPadなどのタブレットからでも操作可能です。
ここでは,Panasonic社製スマートHEMSの機器であるAiseg2をスマホで操作できることをご紹介します。
スマホアプリ「スマートHEMS」
スマートHEMSは,iPhoneやAndroidのアプリが提供されています。
子供の帰宅をスマホに通知
子供部屋などの電気使用量が増えると「在宅」を判断してスマホに通知してくれます。
他にも,電子錠やトイレと連携してお知らせすることも可能です。
子どもが寝ているか確認も可能
子どもが寝ているかを部屋の電気使用量で確認が可能です。
また,ママからパパに子どもが寝ねましたボタンでスマホに通知も可能になっています。
Aiseg2の画面をそのままブラウザで閲覧操作
Aiseg2と接続している同じWi-Fi内に接続しているスマホやタブレット端末であれば,7型モニター機能付きモデルと同じ画面をスマホで確認することが可能です。
方法としては,ブラウザ上にAiseg2のプライベートIPアドレスを入力するとログイン画面に表示されます。
スマホアプリ「スマートHEMS」の「Aisegの画面を表示」から表示することも可能です。
アプリとは異なり,ブラウザ(SafariやChrome)での操作になります。
ログインには,IDとPWを求められます。
初期設定では,IDは「aiseg」,PWはAiseg本体の裏に書いてある「機器コード」です。
機器コードを毎回確認して入力するのがめんどくさい場合は,スマホの辞書機能に「あいせぐ」の変換候補に機器コードを登録しておくと便利です。
他の方法として,私はパスワードマネージャーの1Passwordを使ってIDとPWを登録して入力しなくてもiPhoneの顔認証だけでログインできるように設定しています。
ログインが成功すると,このように消費電力などが確認できるようになります。
導入コスト
導入コストとしては,採用するHEMSによっても異なりますが,Panasonic社スマートHEMSのAiseg2本体で実勢価格が約6万円。
Panasonic社製分電盤スマートコスモが実勢価格約10万円。
他に工賃などが必要になってきますので,トータルで約20万円ほどが相場になります。
ハウスメーカーであれば導入を推し進めるために安く提供している場合もありますので単純には比較はできないです。
もちろん,HEMSを導入しない場合でも新築の場合でも分電盤や配線工賃などは必要になってきます。
他に,自治体によってはHEMSの導入に補助金が受けられる場合もあるのでチェックしてみてください。
私の住んでいる市では,契約施工前に補助金の申請が必要で気づいた頃には受け付けてもらえず1万円損しました。
次は連携機器をご紹介します。
HEMSの利点は,対応する機器との連携です。
対応機器
エアコン
Panasonicやダイキンなど多くのメーカーがHEMS対応機種を販売中です。
大きく分けて,無線LAN内蔵エアコンと後付け無線LANアダプタタイプがあります。
HEMS対応以外にも,各社それぞれオリジナルのアプリを使ってスマホから操作も可能なものが多いです。
エコキュート
エアコン同様,Panasonicやコロナなど様々なメーカーがHEMS対応機種を販売しています。
エコキュートは,夜間電力の安い電気をつかってお湯を沸かす装置です。
しかし,固定買取制度の終わった太陽光発電や近年の固定買取額によっては太陽光で発電した電気を使った方が安い場合も出てきています。
HEMSと連携するエコキュートは,翌日の天気予報をもとに昼間の太陽光発電の電気でお世を沸かすといった機能があるんです。
売電するより使った方がお得!をサポートしてくれます。
EV充電器
HEMS対応のEV充電器もラインナップされています。
私はこのELSEEVhekiaSMode3を自宅に設置しました。
日々、日産リーフを充電するのに使っています。
この製品は,HEMSで充電開始停止を操作できるのはもちろん,家全体の使用電力量を判断して電流を自動でコントロールしてくれます。
また,エコキュートと同様に天気予報と連動して夜間電力だけでなく、太陽光の電気で充電するように自動で調節可能です。
太陽光発電
太陽光発電も様々なメーカーが出していますが,多くの太陽光メーカーはHEMSに対応したモデルを販売しています。
例えば,我が家はQセルズという韓国メーカーの太陽光発電を設置しました。
もちろんHEMS対応です。
パワコンに繋がるパネルから,スマートコスモ経由でHEMSに発電量などの情報が送られます。
売電量などもリアルタイムで見ることが可能です。
画像は我が家の冬のとある日の発電量になります。
我が家では太陽光パネルが9.9kW設置されています。
画像をみると、7.0kW発電中となっています。
蓄電池
HEMS対応蓄電池を使えば,日中に発電した電気を夜間にも使うことが可能です。
蓄電池は,固定式の電池を家に設置するタイプと電気自動車を繋いで電池とするV2H(vehicle to home)の2種類があります。
HEMS連携することで,蓄電池にためた電気を時間帯による電気料金に合わせてかしこく利用可能です。
スマートスピーカー
GoogleアシスタントとLINEClovaに対応しており,音声で照明やエアコンなどの操作が可能になります。
個人的にはAmazonEcho派なので,アレクサに対応していないのは残念。
温度湿度センサー
温度湿度センサーを部屋に置くことで,Aiseg2と連携し空気環境の見える化をすることができるようになります。
温度湿度センサーは電池式でおおよそ寿命は5年間。
10分に1回温度湿度を計測し,最大10台までAiseg2に登録可能です。
ラインナップとして,屋内用と屋外用があります。
ドア・窓開閉センサー
窓センサー送信器とAiSEG2が連携して,窓の開閉だけでなく施解錠の状態確認が可能になります。
宅内からはもちろん,スマホでも窓の開閉・施解錠の状態を確認できるほか,窓や鍵が開状態になるとスマホに通知でお知らせするので,外出中の気がかり解消に役立ちます。
電動窓シャッター
HEMS対応シャッターは,HEMSモニターからの操作はもちろん,タイマー設定や一斉操作も可能になります。
対応するのは文化シヤッター株式会社製、三和シヤッター工業株式会社製、株式会社LIXIL製のみなので注意が必要。
我が家はYKKAPのシャッターなので対応していませんでした。
余談ですが,YKKAP製の電動シャッターはConnexoon社のSomfyに対応しておりスマホからの操作やIFTTT連携すればアレクサなどのスマートスピーカーで操作可能です。
火災報知器
HEMS対応の火災報知器は,火事を検出するとHEMS連携してある照明を全てONにしてくれ,夜間の避難を助けてくれます。
また,メンテナンス面では火災報知器の電池切れをスマホに通知といった機能もあるんです。
壁スイッチ
Panasonic社製のスイッチであるアドバンスシリーズはHEMSに対応しています。
スマホやHEMSモニターからオンオフ操作が可能です。
ちなみに,PanasonicのスマートHEMSはアレクサ非対応ですが,このアドバンスシリーズはアレクサ対応です。
アドバンスシリーズのスマホアプリとアレクサアプリを連携することで音声操作可能になっています。
ほんとにややこしい。
Panasonicさん,HEMSもアレクサ対応してください。
なぜGoogleアシスタントとLINE Cloverのみなんだろうか。。。
見える化による意識改革
HEMSを導入するポイントは2つ!
HEMSを導入する際のポイントは2つあります。
・エネルギーの見える化
・エネルギーの一元管理
これらを実現することで生活がどのようにプラスになるのか解説していきます。
エネルギーの見える化
HEMSを導入することで,家庭内の電気使用量を数値やグラフで確認できるようになります。
例えば,部屋ごとの消費電力や,太陽光のリアルタイムな発電状況や,蓄電池にあとどれだけの電力が蓄えられているのかなど。
数値で細かく把握することができます。
電気の無駄遣いがわかる
電気使用の傾向がわかる
数値で節電目標が立てることができる
人は見える化することで自然と意識が向きやすく,上記のようなメリットが生まれます。
エネルギーの一元管理
HEMSの導入では,電気の見える化だけでなく,家族が使う家電などをみんなで共有し,また制御も可能になります。
HEMS端末画面やスマホから操作可能
暮らしのタスクを自動化
例えば,家に帰ったらお風呂にお湯が入り用意されていたり,エアコンを自動でつけてくれていたりと様々なタスクを自動化してくれます。
また,前日や先月との電気使用量を比較して使い過ぎを教えてくれたりなど機能は様々です。
また,電力のみならず使用したお湯の量やガス,電気自動車などとも連携可能になっています。
今後の課題
いままでHEMSを紹介してきましたが,まだパーフェクトとは言えません。
2つ今後の課題を紹介します。
HEMSに対応していない機器も多い
HEMSに家電などを接続したい場合は,ECHONETLiteという規格に対応しているものでなければいけません。
昨今のホームIoTでは,コストの関係などでこうした規格に準拠しないものも多くあります。
例えば,Switchbotシリーズなどの海外製品などはHEMSには対応していません。
ですが,HEMS製品が今後発売されないかというとそうでもなくエアコンやエコキュートの新機種などは下位モデルも積極的にHEMS対応してきています。
HEMSを導入する際は,どこを連携させたいかを計画してHEMS対応家電なども購入するのがおすすめです。
コストパフォーマンスが良いとは言えない
価値観はそれぞれですが,エネルギーの見える化や一元管理と,HEMSの導入コストが見合っているかというのは議論の余地があるでしょう。
SwitchBotの温湿度計は、Panasonic社製温湿度計の5分の1の値段で買えます。
なにも全てHEMSで揃えなくても、違うシステム同士を使い分ければいいわけです。
では、どれくらいHEMSの導入が進んでいるのでしょうか。
HEMSの普及率は2020年でおよそ3%です。
今後の発展に期待ですね。
私はHEMSの技術に興味関心があったため導入しましたが,導入に後悔は全くしていません。
導入してよかった設備,TOP5の中にはいるぐらいHEMSはお気に入りです。
まとめ
HEMSの基本的なことについて解説しきました。
社会は情報社会になり,衣食住もこれからより情報化されていくことでしょう。
そんな社会の中で住の情報化,HEMSはこれからどんどん主流になっていき生活に取り入れられていきます。 ぜひ気になった方は導入を検討してみてください。
検討する際は,メリットとデメリットをよくご自身で考えた上で生活に合ったシステムを選びましょう!
今回は以上になります。