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【完全版】日産サクラより中古EVが狙い目|EV/PHEV基礎知識からリーフ・テスラまで

電気自動車(以下 EV)をだいぶ街中で見るようになりました。

ここ最近のガソリンの値上がりや,補助金の拡充などもありEVを考えている方も多いとききます。

今回は,EVを買う上での基礎知識とEVに合うライフスタイルを紹介しましょう。

加えて,私が買ったEVについても解説しますね。

EVの基本知識

PHV (PHEV)とEVの違い

PHEVとEVは似ているようで違います。

EVは,「Electric Vehicle」で電気自動車の略です。

バッテリーのBをつけてBEVとも言われます。

PHVは「Plugin Hybrid Vehicle」でプラグインハイブリッド自動車です。

PHVはPHEVとも言われることがありますが,これは「Electric」を入れるかどうかはメーカーによって名称が異なります。

PHVは,外部電源からの充電が可能なハイブリッド自動車です。

そのため,PHVはエンジンとバッテリーとモーター全てを載せるため,大変高価で一部EVの利点を殺してしまっている部分もあります。

補助金・減税

EVを新車で買う場合に,補助金を受け取ることができます。

これは地球温暖化対策の一つであるCO2排出削減対策としてEV車の導入を推進する目的とされ

2030年代半ばまでに乗用車新車販売で電動車100%にする

今後10年間で電気自動車の導入を強力に進める

これらを進めようとしている国の施作によるものです。

補助は,EV購入に対する補助金とEVにかかる税金の減免があります。

詳しく解説していきましょう。

補助金

国の補助金「クリーンエネルギー自動車・インフラ導入促進補助金」としてEVなど購入費用の一部が補助されます。

補助金の対象は,EV・PHV(PHEV)・FCEVの一部となります。

具体的な額は以下の通りです。

車両上限
電気自動車(軽を除く)85万円
軽電気自動車55万円
プラグインハイブリッド車55万円
燃料電池車255万円
超小型モビリティ個人35万円,
サービス45万円

これらは,車載コンセント(1500WAC100V)機能がある車種の上限になります。

加えて,自治体ごとにも補助金受け取ることが可能なところもあるんです。

詳しくはお住まいの自治体のウェブサイトで確認してみてください。

減税

EVに対する自動車税の課税免除を受けることができます。

EVの自動車税25,000円を5年間,計125,000円免除ということです。

また,愛知県の場合は加えて中小企業の事業主と個人事業主の場合最大40万円の補助を受けることも可能になっています。

バッテリー

「kWh」とは

kWh (キロワットアワー)」は,瞬間に使われる電力を表す単位です。

EVの航続距離に直結するバッテリーの量を表すのに使われます。

解説するためにそれぞれ分解すると,

k=1,000
W=消費エネルギー
h=1時間

ということです。

kは単純にゼロの数を少なく見せる記号なので,「kWh」と「1,000Wh」は同じですね。
kgの「k」もおなじで,1,000gですよね。

次に消費エネルギーについてです。

身近なもので,「LED電球」をとりあげましょう。

LED電球1つが10Wだとします。

10Wってかなり明るいです。

10WのLED電球を1時間灯すのに必要な電力が10Whです。

ということは,「1kWh(1,000Wh)」の電力があれば10WのLED電球を100時間灯すことが可能ということですね。

100時間なので約4日間になります。

電気を溜めるバッテリーでは,この「kWh」を水で言うところの「ℓ」と同じように単位として使っています。

数字が大きければ大きいほど引き出せる電力が多いということです。

EVの場合は大きな車体を動かせるだけのモーターを動かすだけのバッテリーが必要になってきます。

そのため,EVでは30〜100kWhの大型のバッテリーを搭載しています。

余談ですが,

携帯電話やモバイルバッテリーでは「mAh」が使われることが多いです。

この「mAh」は,

「m(ミリ)」が「1000分の1」。
「1mAh」ならば,「0.001Ah」です。

「Ah」は,「A(アンペア)」が電流で「h」は1時間となります。

この場合,「Ah」と「Wh」は単位が違うので比べられません。

しかし,「W」は「A×V」です。

モバイルバッテリーに使われているバッテリーの種類はリチウムイオン電池なのできまった電圧があります。

リチウムイオン電池は3.7Vです。

よって,1mAhは0.0037Whとなります。

5,000mAhのモバイルバッテリーであれば,18.5Whです。

例えば,5000mAhのモバイルバッテリーは40kWhのバッテリーを積んだ日産リーフ1台の何分の1なのでしょうか。

計算すると,約2,162個ということになります。

最新のスマホも5,000mAhぐらいのバッテリーを積んでいるので,EVはその数千倍の電池容量があるということですね。

劣化する条件

なぜバッテリーは劣化するのか。

そもそも,電池には二種類あります。

使い切りの「一次電池」と,再充電可能な「二次電池」です。

一次電池」は乾電池やボタン電池などですね。

今回のバッテリーが劣化する条件でお話しするのは再充電可能な「二次電池」の方です。

EVやスマホなどに使われる電池はほとんどが「リチウムイオン電池」とよばれるものが使われています。

このリチウムイオン電池は,プラス極とマイナス極にリチウムを原料にしたものと炭素が使われています。

このプラスとマイナスの間には液状の薬品がはいっており,薬品の中をイオンが行き来することで電池から電気をとりだしたり充電したりできるんです。

このプラス極とマイナス極が劣化することでバッテリーは劣化します。

一番の原因は熱です。

バッテリーを高温状態にしておくことが劣化の要因の一つとなります。

またバッテリーは充電状態でも熱を発します。

よって,温度の高い場所に放置したりせず,充電の頻度を下げればバッテリーの劣化は遅らせることができるというわけです。

長持ちさせる方法

バッテリーにはさまざまな特性があります。

先ほど解説した熱など,いくつかの点を注意するとバッテリーを長持ちさせることができるんです。

長持ちさせるために知っておきたい特性を3つ紹介します。

  • 電池が過度に発熱する環境での使用は控える
  • 電池容量100%付近での状態を避ける
  • 頻繁な継ぎ足し充電は避けて広い範囲を満遍なく使う


一つ目は,電池が過度に発熱する環境での使用は控える。

まずは,バッテリー劣化の大敵な熱です。

EVの場合は,主に夏になるでしょう。

炎天下での使用や放置は避けた方が良いとされています。

解決方法としては,駐車する際は日陰やカーポートの下などに駐車するのも方法のひとつでしょう。

最新のEVでは,バッテリーへの負荷を軽減するために常時バッテリーを液体で冷却する装備を搭載しているモデルもあります。


二つ目は,電池容量100%付近での状態を避ける。

バッテリーに含まれる薬品も,電極と同様に劣化をします。

液体状の薬品は,電池容量が100%に近い時ほど劣化が進行しやすいです。

そのため,満充電で使いたい場合は使う直前に充電が終わるような工夫をするとよいでしょう。


三つ目は,頻繁な継ぎ足し充電は避けて広い範囲を満遍なく使う。

電極の劣化は熱以外にも,使用によって進みます。

そのため,あまり継ぎ足し充電を繰り返し特定の容量領域を集中的に使用すると劣化につながるんです。

長持ちさせる方法をまとめると,

  • 高温状態で放置しない。
  • 頻繁に継ぎ足し充電は避けて100%充電はしない
  • 常用であれば20%になったら80%まで充電する

この3つを守ればEVのバッテリーは長持ちさせることができます。

航続距離

航続距離はEVを購入する際に心配になるポイントの一つです。

ガソリン車であれば,1タンクで500km程度走れる車も多くあります。

では,EVではどうなのでしょうか。

ガソリン車であれば,燃料のガソリンをいれておくタンクが航続距離と直結します。

ガソリン車の場合であれば,「燃費×タンク容量」が航続距離になりますね。

では,EVではどうなるかというと。

EVは,「バッテリー容量×電費」が航続距離になります。

ここで「バッテリー容量」と「電費」という言葉が出てきました。

「バッテリー容量」は,バッテリーの項目で説明しましたが車種によって30〜100kWhと様々です。

「電費」についてですが,これはガソリン車の燃費と同じようにある一定のものから何km走れるかというもの指標になります。

ガソリン車であれば,ガソリン1ℓで何km走れるかが「燃費」ですね。

EVの場合は,電気1kWhで何km走れるかが「電費」になります。

もちろん「電費」は,ガソリン車の燃費と同じようにアクセルの踏み方やエアコンの効かせ方によってもかわります。


例として日産リーフをあげましょう。

日産リーフの場合であれば,電気1kWhあたり7km走行可能だといわれています。

現行の日産リーフは40kWhのバッテリーを搭載しているので,満充電で約280km走行可能ということになります。

もう一つ例として,テスラモデルSバッテリー100kWhであればどうでしょうか。

テスラモデルSの平均電費を調べると5km/kWhとのことでした。

ということは,テスラモデルSであれば500kmの航続距離があり,航続距離でガソリン車と遜色ないEVもあるといえますね。

充電場所

自宅

主に家庭で充電する際に使われるのが普通充電です。

他にも,宿泊施設やショッピングセンターなどにも設置してあります。

充電には,200Vコンセント充電ケーブルが必要です。

充電ケーブルを介してEVを充電します。

充電ケーブルはEVを購入した際に付属することがおおいです。

200V以外にも100Vに対応した充電ケーブルも販売されており,別途購入すると8万円ほどします。

家庭用の200Vコンセントを使うため,特別な受電設備などが必要なく比較的安価にEVを充電できる設備を整えることが可能です。

充電速度は1.5kWh-9kWhとなります。

これは,3kWで充電した場合,1時間で3kWh充電できるということです。

充電スピードは「kW」(キロワット)の数字が高い方が早いと思ってください。

多くの場合,200VコンセントにEV付属の充電ケーブルを使うと3kW充電です。

専用のEV充電器などを設置することで3kW以上の充電が可能な製品も販売されています。

6kWで充電可能な普通充電器については下記の関連記事にまとめていますのでご覧ください。


関連記事:【レビュー】EV充電器ELSEEV hekia S Mode3(エルシーヴ ヘキア エス モードスリー)

【完全版】EV充電器ELSEEV hekia S Mode3(エルシーヴ ヘキア エス モードスリー) 今回は,EV充電器「ELSEEV hekia S Mode3(エルシーヴ ヘキア エス モードスリー)」を一年使ってみてのレビュー記事...

外出先

外出先では主に急速充電で充電をすることなるでしょう。

急速充電は高速道路のSAPAやディーラーや商用施設に設置されている大型の充電設備になります。

急速というだけあって,普通充電に比べて早く充電が可能です。

基本的に有料で,1回の充電は容量ではなく30分と時間で決められています。

充電器や充電器のコンディション,EV車種やEVのコンディションによって充電できる量が変わってくるのでとても分かりづらいです。

充電速度としては,「kW」で表されます。

例えば,50kWの充電ができる急速充電器であれば,1時間で50kWh充電可能です。

ですが,急速充電は1回30分なので半分の25kWh充電されるということになります。

充電は場合によっては30分以下でも良いですし,後続がいなければ再度30分充電も可能です。

日本で販売されているEV多くは,「CHAdeMO」という規格がつかわれています。

テスラ車のみ,スーパーチャージャーという専用の充電スタンド使うことが可能です。

テスラ車はアダプタを使えばCHAdeMOを使って充電ができます。

ですが,テスラ車以外がスーパーチャージャーを利用することはできません。

急速充電器の充電速度としては,50〜350kWです。

支払いついては,クレジットカードと紐付けしたEVカードを使います。

充電ポート

普通充電と急速充電では充電ポートの形状が異なります。

これは,給油口が一つしかないガソリン車と比べて違うポイントです。

これは初代リーフ(AZE0型)の充電ポートの写真です。

左が「急速充電」,右が「普通充電」のポートになります。

一般的に,急速充電は「CHAdeMO」,普通充電は「Type1」とよばれます。

このほかに,テスラは独自の普通急速両対応のポートを採用しています。

諸外国では日本とは異なるポートを採用している国もあり,相互に利用する場合は変換アダプタが必要です。

普通充電

日本では多くのEVが普通充電で,「Type1」を使っています。

普通充電では,交流の商用電源を車内のコンバーターと呼ばれる交流を直流に変換する装置を使ってバッテリーを充電します。

そのため,普通充電ポートに流れる電流は交流です。

急速充電

日本では急速充電に「CHAdeMO」を使っています。

急速充電は,充電器側で大型のコンバーターが交流を直流に変換してEVに充電をします。

そのため,急速充電ポートに流れる電流は直流です。

急速充電器は,大きく高性能な装置で商用電源から高い電圧を受けることができます。

また高い電流を扱えるため急速にEV充電が充電できる仕組みとなっているんです。

メンテナンス

EVはガソリン車とちがって内燃機関や変速器がありません。

そのため,エンジンやトランスミッションに関係するメンテナンスが必要なくなります。

例えば,エンジンオイルの交換やフィルターの交換などは不要です。

しかし,車体部分であるブレーキパッドやブレーキフルードなどはガソリン車同様に消耗品なため定期的な点検や交換が必要になります。

ほかにも,タイヤやワイパーゴムはもちろん,12V補機バッテリーもEVには搭載されています。

これらも定期的な点検や交換は必要です。

そのため,EVはガソリン車に比べてメンテナンスフリーかというとそうではありません

しかし,EVの方が比較的メンテナス費用はガソリン車より安くなりそうです。

V2H

V2Hとは,「VehicleToHome」の略でEVを家庭用蓄電池として使うシステムです。

V2Hでは,専用の機器を導入することで太陽光発電などで発電した電気をEVに充電し夜間に使うことができます。

また,災害時などで停電した場合にもEVからの電気で普段通りの家電が使用可能です。

ニチコンやデンソーなどからV2Hのシステムが販売されています。

メリットデメリット

EVのメリットとデメリットを解説していきましょう。

メリット

二酸化炭素(CO2)を排出しないので環境にやさしい

まず,EVのメリットとして挙げられるのは環境にやさしいことでしょう。

ガソリンの代わりに電気で走るため,二酸化炭素(CO2)を排出しません。

ただし,電力会社から販売されている商用電源の多くは化石燃料由来の電気になります。

2020年度のエネルギー供給は化石燃料による火力発電が76.3%を占めており,内訳は

石油が6.3%
石炭が31.0%
LNG(液化天然ガス)が39.0%

となります。

そのため,現状では商用電源でEVを充電すると間接的に二酸化炭素を排出することにもなります。

自宅に太陽光発電を設置して,日中の発電した電気を自家消費しEVに充電する場合はその限りではありません。

走行音や振動が少ない

ガソリン車はエンジンを稼働する必要があるため,どうしても振動や音が発生します。

エンジンを搭載していないEVは,ガソリン車に比べて圧倒的に振動や音が少なく,加速もスムーズです。

ただし,走行中の音の一部分は道路とタイヤの摩擦音や車体で空気をきる時の音などであるため,EVだからといって完全に無音というわけではありません

自然災害など停電時に蓄電池として使える

近年,異常気象や地震による自然災害を原因とした停電が増加傾向にあります。

非常時にはEVを非常電源として活用することが可能です。

この活用には二つの方法があります。

  • EVから直接電源を取る
  • V2Hを使う


一つ目は,EVから直接電源を取る方法です。

これは,EVに搭載されているAC100Vコンセントや,12Vシガーソケットから電源を取る方法です。

この方法は,ガソリン車でも可能ですが取り出せる電気の量や取り出せる時間がEVの方が優れています。

12Vシガーソケットから,AC100Vを取り出す場合はインバーターという装置を別途購入しておく必要があります。

一部のEVなどにはCHAdeMO端子からAC100Vを取り出す装置に対応しているものもあります。

二つ目は,V2Hの仕組みを使う方法です。

この方法を使えば,EVを家に繋いで家庭のほぼ全ての家電製品を電気を補うことが可能です。

仮に40kWhのバッテリーを搭載したEVであれば,1日15kWh消費したとしても約2日半通常と同じ生活を送ることができます。

地震による災害のライフラインの復旧は

早い:電気 >> 水道 > ガス」の順番であるとされています。

東日本大震災の際には約850万世帯の家庭が停電に見舞われました。

この停電のうち,3日以内に電気が回復した世帯は約78%とされています。

そのため,このV2Hはもしもの際の備えとして十分に機能するといえるでしょう。

引用:「東日本大震災水道施設被害状況調査報告書(平成23年度災害査定資料整理版)」について

ランニングコストが良い

EVはガソリンの代わりに電気で走ることから,かかるのは電気料金のみになります。

EVとガソリン車を比較してみましょう

燃費(電費)に関しては,ガソリン車はkm/ℓ,EVはkm/kWhでした。

リーフの場合は7km/kWh,テスラモデルSの場合は5km/kWhとします。

1kWhあたりの電気代は30円とした場合,1円で走ることのできる距離は次のとおりです。

  • リーフは0.23km/円
  • モデルSは0.16km/円

これをガソリンを使うガソリン車と比べると以下の通りです。

  • 7km/kWhのリーフ = 36.8km/lのガソリン車(レギュラー@160円)
  • 5km/kWhのモデルS = 25.6km/lのガソリン車(レギュラー@160円)


上記のことから,EVとガソリン自動車のランニングコストの差がわかります。

また,現在レギュラーガソリンは170円を超えているのでこの差はより大きいです。(2022/03現在)

別の視点で見ていきましょう。

太陽光発電を設置して自家消費すれば,太陽光発電固定買い取り制度の売電価格と同じ料金で充電できたことになります。

この時に売っていたはずの電気というのは,買電料金よりも安いです。

太陽光発電を使えば,よりEVはガソリン車よりも安く維持することが可能となります。

ただし,太陽光発電の場合は設置費用が「電力料金の先払い」として電気の単価に上乗せするひつようがありますね。

太陽光発電の導入費によっては,割安感が薄まりますのでお気をつけください。

目安としては,太陽光発電の設置費用は1kWあたり20万円を超える場合は注意です。

現在,多くの電力会社が夜間の電気単価を安く設定したプランを提供しています。

しかし,これは原子力発電の割合が多かった頃の名残であり,徐々に昼間の高い電気代と変わらなくなっていく流れになるでしょう。

ただし,この電気料金の値上がり以上にガソリンの価格の上昇が大きいことが予測されます。

将来的にもランニングコストはガソリン車に比べてEVの方が安くなることでしょう。

補助金減税がうけられる

上記で解説したとおり,補助金と減税を受けることができます。

この受け取ることのできるお金のおおもとは税金のため,受けられるのであれば受けるに越したことはありません。

ただし,目先のお金に踊らされない様に注意をしてください。

自分のライフスタイルやお財布事情以上の買い物になってしまっては意味がありません。

一番コストのかからない車の維持方法は,ガソリン中古車やレンタカーの場合もありますのでそうしたケースもEV購入を検討する際に考えてみてください。

デメリット

価格が高い

電気自動車の販売価格は,ガソリン車と比べて高い傾向にあります。
この大きな原因としてバッテリーの価格の高さが挙げられます。
値段に関しては,メリットの一つに挙げた補助金や現在で補うことも可能です。
今後の技術革新や量産によるスケールメリットでバッテリー価格が下がればEVの値段は下がる可能性もあります。
しかし,現状の価格の高さが障壁となりEV購入に不安を抱く方もいるのは確かです。
また,EVの製造に使われるレアメタルの約60%は中国に依存しており地政学上も政治上でも不安が残る。

充電に時間がかかる

充電についてはガソリン車の給油と比べると長いです。

消防法に基づく規制で,

一度に給油できる量は,ガソリン・ハイオクは100リッター,軽油は200リッターまで。
給油の速度は,毎分30~35リッター。 給油の時間は4分間まで。

とされています。

ということは,ガソリン車の給油は余裕をみても10分かからないわけです。

それに比べてEVは,数十分から数時間ほど充電に時間がかかることもあります。

自宅に充電コンセントなどが無く,充電スタンドで充電を行う場合は,完了まで待たなければなりません。

また,急な外出予定が出てしまった時などにも不向きと言えるでしょう。

航続距離が比較的に短い

先ほど説明したリーフの航続距離が,満充電で約280km走行可能ということでした。

リーフのEVの普及モデルとして2010年に販売され,モデルチェンジをかさねることでバッテリー容量を増やし航続距離を長くしてきています。

しかし,現状で280km程度というのは,ガソリン車に比べて航続距離が短いといわざるをえません。

航続距離はバッテリー搭載容量に直結します。

もう一つ例として挙げた,テスラモデルSバッテリー100kWhであればどうでしょうか。

こちらは航続距離500kmとガソリン車と遜色ありません。

ですが,モデルSは1,000万円を超える高額なEVです。

リーフが300万円程度のことを考えると,ここで引き合いに出すにはどうかと思います。

こうしたことからも,EVは航続距離が比較的短いということはデメリットのひとつでしょう。

バッテリーの劣化が気になる

ガソリン車はランクルやハイエースなど高耐久なエンジンであれば20万キロを超えても全く問題なく問題なく走る車が多くあります。

EVではどうでしょうか。

EVの走行の要はバッテリーです。

上記で解説しましたが,バッテリーは劣化します。

劣化の大きな原因のひとつはによるものです。

この熱も対策することである程度は克服することが可能です。

現行モデルのリーフやテスラ車など多くのEVはバッテリーを保護するために水冷機構を装備しています。

フィンランドでは,テスラモデルSを使用したタクシードライバーが3年間で40万kmを走破した事例もあるほどです。

また,トヨタが販売するbz4xも広報ではバッテリーは10年間で90%程度に抑えられるとしています。

これらのことからも,バッテリーの劣化については問題ないレベルです。

EVが合う人

一軒家

EVを購入する際に重要なのが充電です。

EVには普通充電急速充電があります。

急速充電はどなたでも利用可能ですが,普通充電に関しては主に家庭での充電ということになるでしょう。

家庭で充電できる環境となると限られてきます。

一軒家であればご自身の判断で自由に充電設備を取り付けることができますが,マンションや賃貸ではどうでしょう。

設置にはオーナーや大家の許可が必要になり,電気の引き込みや料金の支払いなどが大きな壁になります。

こうしたこともあり,EVに合うライフスタイルとして一軒家住まいを挙げています。

ただし,現在は賃貸やマンションでもEVコンセントを使える物件が増えてきています。

また,EV充電器を設置することに対する補助金などもありますのでオーナーや大家と交渉するのは一つの方法としてありかもしれません。

セカンドカー

ランニングコストが安いことに加えて,航続距離が短い。

そんな車を何に適しているかというと通勤です。

全国で自家用車通勤・通学する15歳以上の人は2702万9618人で,全通勤・通学者5842万3465人に占める割合は46.27%となっています。

これは鉄道通勤・通学率の1.9倍で,全国的に見ると自家用車通勤・通学の方が電車よりも多いと言えます。

通勤の多くは40分程度と言われています。

市街地の時速は約30km程度ですので,片道の距離はおよそ片道20km,往復で40kmです。

普及帯のリーフの航続距離が280kmですので,余裕をもって8割として航続距離は224km

これは往復40kmの通勤で使えば5.6日分になります。

余裕をもってもなお平日5日充分に追加充電なしで通勤可能になります。

ファミリー層で7人乗りが必要であれば,休日はメインカーでガソリン車のミニバン。

平日の通勤は5人乗りのEVは理にかなっているのではないでしょうか。

過疎地在住

ガソリン車は文字通りガソリンが必要です。

ガソリンはガソリンスタンドで給油する必要があります。

しかし,当たり前の様に身近に存在するガソリンスタンドが今後もその場所にあり続ける保証はあるでしょうか。

資源エネルギー庁によると,ガソリンスタンド数は1994年度末の6万421カ所をピークに減少が続き,2020年度末は2万9,005カ所とほぼ半減しているとされています。

今後,日本は人口減少のが進み山間部などでは今以上にガソリンスタンドの閉鎖が進みます。

片道十数km走らないと給油にいけないでは利便性は大きく下がってしまいますね。

いくらガソリンスタンドが減ったとしても,主要インフラである電気は当面供給がなくなることはありません

電気を使い家庭で充電できるEVは,過疎地在住であればあるほど有利にはたらきます。

中古EVの選択肢

これまでEVについて解説してきました。

新車で補助金をもらいEVを購入する方法も悪くわないですが,中古を購入するというのも選択肢のうちの一つとして検討する価値があります。

ここでは,現実的な3車種を紹介します。

ちなみに,中古のEVは補助金対象でないですし減税の対象で無くなっている場合もありますので注意が必要です。

三菱i-MiEV

日本で市販されているEVで最も小さい容量の電池を積むのが「三菱i-MiEV」になります。

リーフが乗用車規格なのに対して,「i-MiEV」は同社のガソリン車「i」をベースとした軽自動車EVです。

2009年に販売が開始され,最終的に2021年まで製造されていました。

現在は新車では販売されておらず,中古車のみが市場にでまわっているのみ。

モデルによってバッテリー容量が異なり,16kWh10.5kWhの2つが用意されています。

この中で,10.5kWhモデルは根強い人気を誇っており,現在でも10年落ちの中古車が100万円前後と高い価格を維持しています。

けっして航続距離の長いEVではありませんし,豪華な装備もありません。

ではなぜ10.5kWhモデルは人気かというと,バッテリーの性能にあります。

バッテリーは劣化するという説明をしましたが,種類によってはほぼ劣化しないバッテリーというものも存在します。

それがi-MiEVの10.5kWhモデル(モデルM)のバッテリー,チタン酸リチウム二次電池(SCiB)です。

このバッテリーは10年10万キロでも航続距離の劣化が極端にすくないというばけものバッテリーで有名です。

リチウムイオン電池の16kWhモデルと比べて圧倒的な対劣化性能を誇ります。

この強固なバッテリーと,航続距離100km,小回りの効く軽自動車規格が相まっておすすめな一台となっています。

日産リーフ

カルロスゴーンの先見性で世に出された「日産リーフ」。

2010年より販売が開始され,2019年にはEVとして史上初の累計販売台数40万代を突破したEV界の先駆者です。

現在はモデルチェンジした第二世代が販売され,40kWhモデルと62kWhモデルが販売されています。

中古EVとして市場に多く出ているのは初代のリーフであり,こちらは24kWhモデルと30kWhモデルです。

初期型はデザインが賛否両論ありますが,私はカエルみたいで可愛いなと思っています。

こんな初期型リーフですが,びっくりすぐるらい値崩れをおこしており,30万円程度から購入が可能です。

値崩れの理由はやはりバッテリーの劣化で,初期型はバッテリーに冷却機能をもっていません。

そのため,場合によっては半分程度のバッテリー容量になっているものもあります。

ですが,24kWhモデルでバッテリーが劣化して半分になったとて12kWhです。

平均電費が7kmですので,84kmは走行可能という計算になります。

乗り潰すという意味では考える価値があります。

もうすこし航続距離が欲しいという場合であれば,30kWhモデルを探すと良いでしょう。

リーフにはバッテリーの劣化具合をセグとよばれるもので教えてくれるようになっています。

最大が12になっており,その値が高いものを探せば良いということです。

セグについては後ほど詳しく解説します。

例えば,30kWhモデルの11セグのであれば100万円以下で購入することができます。

BMW i3

BMW i3」は2013年より販売が開始されたEVです。

世界で販売された電気自動車の中で3位にランクインし,累計20万代が販売されています。

「i3」はBMWの独自の思想がふんだんに盛り込まれており,例えば車体はカーボン製で扉は観音開きになっておりタイヤも独自仕様のものです。

バッテリーは22kWh33kWhモデルがあり,一部のモデルにガソリンで充電ができるレンジエクステンダーを搭載したモデルも用意されています。

普通充電のポートがボンネット内にあり,充電中はボンネット開けっぱなしというなかなかクレイジーな設計である。

中古の価格は160万円〜といったところで,安くはないが唯一無二感が強い車なので乗ってみるのも面白いかもしれない。

中古リーフの選び方

私が中古EVでおすすめするのは中古のリーフです。

その中でも初期モデル後期型の30kWhモデルをおすすめします。

では,くわしく解説していきましょう。

リーフの種類

初代前期

2010年12月(平成22年12月)〜2012年10月(平成24年10月)までのモデルが初代前期型です。

形式は「ZE0」で,バッテリー容量は24kWhのみとなります。 中古で30万円前後で販売されている多くはこの初代前期です。

セグが8の場合で,約16kWhのバッテリー残量でおよそ110km走行可能な計算になります。

コスパ最高を目指すのであればこの初代前期を狙うのも手かもしれません

初代中期

2012年11月(平成24年11月)〜2015年11月(平成27年11月)までのモデルが初代中期型です。

形式は変更になり「AZE0」で,バッテリーは前期同様24kWのみ

前期型からの改良として,航続距離が200kmから228kmへと14%伸びています

グレードがS/X/Gとあり,XとGには暖房がヒートポンプ式になり暖房使用時の航続距離延長につながっています。

Sグレードは変わらずのPTCヒーターのため,電気食い虫です。

初代後期

2015年12月(平成27年12月)〜2017年9月(平成29年9月)までのモデルが初代後期型です。

形式は中期同様「AZE0」で,バッテリーに関しては24kWhと30kWh併売されていました。

あいかわらずSグレードにはヒートポンプ式の暖房が装備されないため,XかGグレードがおすすめです。

XかGグレードで,30kWhモデル11セグで90万円程度であれば御の字かなと思います。

現行モデル

2017年10月(平成29年10月)からが現行モデルとなる。

フルモデルチェンジして,形式は「ZE1」となりバッテリーが40kWhに大型化されました。

アクセルペダルのみで加減速できる「e-Pedal」や衝突安全支援システムなどがついて装備がパワーアップ。

WLTCモードで322kmの航続距離とされている。

中古市場で約200万円からとなっており,初代後期の倍以上と考えるとなかなか高い印象をうける。

現行車で航続距離も増え,装備も充実しているのでしかたがない。

新型e+

新型と同様にこちらも現行モデルとなる。

2019年1月より販売され,バッテリーは62kWhと大型を搭載。

WLTCモードで458kmの航続距離とされている。

中古市場では約290万円からとなっており,初代後期が3台買えます。

チェックするポイント

バッテリー劣化具合

引用:セグ欠け30kWhリーフで東京=名古屋日帰り往復で「電気自動車の航続距離」を考察 – EVsmartブログ

セグとは,バッテリーのコンディションを表しており12が最大です。

中古リーフは走行距離も大事ですが,6万km以下であれば急速充電の回数など使い方による要因の方がバッテリー劣化に関しては大きいです。

セグ欠けが中古リーフを見極めるポイントになります。

このセグは高温による劣化や急速充電による劣化が原因なので,普通充電でつかうと劣化しにくいようです。

逆に,急速充電やV2Hで酷使されるとバッテリーの劣化は早く進みます。

新型リーフになってからは,バッテリーに水冷機能がついたため劣化は起こりにくいとされており劣化を気にされるのであれば新型リーフを選ぶのがいいかもしれません。

車体状況

初代リーフの持病として,ボンネット内のアッパーマウントに水が溜まって錆びやすいです。

アッパーマウントが錆びていないかはもちろん,しっかり現物を確認した方が良いです。

狙う中古価格相場

50万円以下

初代前期中期後期の24kWh。

できるだけセグの残っているものを探すと良いでしょう。

100万円近辺

初代後期30kWh(Sグレード以外)。

30kWhモデルの11セグでXかGグレードが良いでしょう。

Sグレードは冬の航続距離に難ありです。

200万円以上

新型30kWhモデル。

12セグのものを選ぶと良いでしょう。

おわりに

いかがだったでしょうか。

EVは全ての人に合うというよりは,合う人にはすごく合う車だと思います。

参考になりましたら幸いです。

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